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体脂肪の役割

体脂肪は、人間の生存にとって欠かせない大事な役割を果たしています。その中でも特に重要なのが、エネルギーの貯蔵・たんぱく質の節約・体温調節・女性の月経の発現維持です。脂肪が多すぎても、少なすぎても健康のために良いことではありません。脂肪が健康維持のために重要な役割を果たしていることにも目を向けてみましょう。

エネルギー貯蔵
体を動かすためには、エネルギーが必要です。このエネルギーは体内にある、脂肪、糖質、タンパク質といった栄養素の中に蓄えられています。体を働かせるために消費する栄養素は体の組織によって異なり、例えば脂肪を主なエネルギーとして使用しているのは心筋、糖質は脳、タンパク質は栄養不足による体の栄養素の飢餓など緊急時のエネルギーとして使用されます。

タンパク質の節約
タンパク質は健康を維持するため重要な働きをしています。筋肉、骨、ホルモン、酵素など健康を維持するために必要なですが、これらすべてタンパク質から合成されてできています。タンパク質が不足すると、これらの働きが低下して健康が維持できなくなります。タンパク質にもたくさんのエネルギーが貯蔵されていますが、緊急時にしか使用されません。健康を維持するためには、タンパク質の消耗を節約する必要があります。その役目をしているのが体脂肪になります。

体温調節
人間は、生命を維持するために、体温を一定に保たなければなりません。体温は高くても、低すぎても生命を維持することはできません。皮下脂肪にある体脂肪は、体の放熱をコントロールして、体温を調節します。寒いときには体温が外に逃げ出さないように、暑いときには外気の温度が体内に伝わりにくいようにして、体温の上昇を防ぎます。

月経の発現維持
女性は、月経が正常に発現し維持されることが健康的な生活を送るために必要です。そのためには、エストロゲンという女性ホルモンを正常に活動させることが必要で、その活動に体脂肪は重要な役割を果たしています。体脂肪が少なすぎると、エストロゲンの活動がおさえられ、月経不順を起こしやすくなります。正常な月経の発現と維持のためには、体脂肪率が17-25%くらい必要です。

脂肪蓄積の仕組み

人間の体内には、脂肪を蓄えることだけを行うために用意されている組織があります。これを脂肪組織と呼びます。体内に蓄積される脂肪は、食物から取り込まれます。このとき、食物に含まれている脂肪をそのまま蓄えるのではなく、ブドウ糖や脂肪酸という物質にして体内で合成し蓄積します。

脂肪組織
肝臓や血管も小量だけ脂肪を蓄えることができます。脂肪が、肝臓の中に溜まりすぎると肝臓の働きが弱まります。このため、余分な脂肪は血管へ排出されます。血管もあまりたくさんの脂肪を蓄えることができません。血管の中に脂肪が溜まると、動脈硬化を引き起こします、血管に蓄積できない余分な脂肪は血管から脂肪組織に排出されます。脂肪組織は、脂肪細胞、線維、自律神経などからできていて、腹、腰、大腿の皮下や内臓のまわりにたくさん存在します。
脂肪蓄積のメカニズム
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脂肪細胞
血管から排出された脂肪は、脂肪細胞という大きな細胞の中に蓄えられます。脂肪細胞は、油滴という組織によりほとんどを占められており、脂肪はこの油滴の中に蓄積 したり、放出したり、脂肪の合成と分解を繰り返し行っています。

脂肪の材料
脂肪は、いくつかの材料を元にして、脂肪細胞の中で作られます。脂肪を作る材料は、ブドウ糖と脂肪酸です。これらは、食物に含まれる糖質や脂質といった栄養素から作られます。

脂肪の作り方
血液の中を流れるブドウ糖(血中グルコースまたは血糖とも呼ばれる)は、血管から排出されると脂肪細胞の膜に達します。このとき、ブドウ糖を脂肪細胞の中に取り込まないように鍵がかかっています。この鍵を開けることができるのは、インシュリンと呼ばれるホルモンです。インシュリンがすい臓から出されると、ブドウ糖は脂肪細胞の中に取り込まれ、脂肪酸とグリセリンに分解され、この脂肪酸とグリセリンを使い脂肪が作られます。肝臓でも、ブドウ糖を材料にして脂肪が作られます。血液中を流れるブドウ糖は、リポ蛋白キナーゼと呼ばれる 酵素の働きにより脂肪酸に分解され、脂肪細胞に取り込まれ、脂肪を作り貯蔵します。食物に含まれている脂肪は、消化吸収され血管の中に取り込まれます。血中に取り込まれた脂肪はカイロミクロンと呼ばれこれもリポ蛋白キナーゼの作用により、脂肪酸に分解され、脂肪細胞に取り込まれ、脂肪を作り貯蔵します。

血液中の脂肪

血液の中にも脂肪は含まれています。血液にある脂肪は、中性脂肪・遊離脂肪酸・コレステロールに分けられます。

中性脂肪
血液中にある中性脂肪は運動すると分解されエネルギーとして利用されます。そのため、運動を長時間にわたり行うと、血液中の中性脂肪は減っていきます。逆に、運動不足の場合血液中の中性脂肪が飽和状態となり、血管にたまったり、脂肪細胞の中に蓄えられます。

遊離脂肪酸
遊離脂肪酸は、脂肪細胞にある中性脂肪が分解して血中に出された物質で、脂肪がエネルギー源として利用される途中の物質です長時間の運動を行うと、たくさんのエネルギーが必要になるため、脂肪細胞が遊離脂肪酸となり、消費されます。

コレステロール
コレステロールは、細胞膜の主成分で生体機能を調整するステロイドホルモンの原料として欠くことができない物質です。血液中のコレステロールには、LDL(低比重リポ蛋白 通称:悪玉)コレステロールとHDL(高比重リポ蛋白 通称:善玉)コレステロールがあります。健康維持のためには、この2種類の比率がLDLよりHDLの比率が高くなることが必要です。HDLを増やすためには、定期的な持久力運動と適切な栄養管理を行うことが必要です。

皮下脂肪

脂肪の多くは、皮下にある脂肪組織に蓄えられます。筋肉などのエネルギーが不足してくると、この皮下に蓄えられた脂肪が血液中に放出されて筋肉などに運ばれエネルギー源として利用されます。

内臓脂肪

脂肪は、肝臓、心臓などの内臓のまわりにも蓄積されます。内臓脂肪の蓄積に伴ない糖や脂肪の代謝が悪くなり、病気になりやすくなります。
脂肪分解の仕組み

蓄えられている体脂肪は、絶えず合成と分解を繰り返しています。合成と分解のバランスが体脂肪の量を決めます。合成が分解を上回ると脂肪量は増え、分解が上回ると脂肪量は減少します。体の中に蓄えられた脂肪を分解するためには、食事量を減らすことは勿論のこと、運動によって脂肪の分解を高めることも必要です。脂肪細胞は、核・ミトコンドリア・小胞体・油滴などの組織で作られており、脂肪組織は油滴の中に蓄えられています。小胞体にはリパーゼという酵素があり、この酵素が油滴と接触することで、脂肪は分解されます。油滴の表面には、リパーゼと接触しないよう扉に鍵がかかっています。この鍵を開けるためには、副腎皮質刺激ホルモン(ノルアドレナリン・アドレナリン)です。このホルモンを出すためには、中程度の運動を一定時間行うことが必要です。
脂肪分解のメカニズム
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分解された脂肪細胞
脂肪細胞にある脂肪は、リパーゼの働きにより分解されると脂肪酸を放出しその一部は、筋肉(遅筋)のエネルギー源として利用されます。筋肉(遅筋)にとりこまれた脂肪酸は、二酸化炭素と水に分解されます。筋肉(遅筋)に取り込まれない脂肪酸は、肝臓に運ばれ再び中性脂肪に合成され、再び脂肪組織に運ばれます。

分解を促進する方法
脂肪細胞から、分解された脂肪酸は燃焼できなければ、また肝臓に戻り脂肪細胞となります。脂肪細胞を取り除くためには、分解して出来た脂肪酸をすみやかに血液に送り出し筋肉(遅筋)に運び、二酸化炭素と水に分解することが大切です。そのためには、筋肉(遅筋)を使用した運動を一定時間以上に渡って行うことで分解を促進できます。
体脂肪と食事

体脂肪の量は、食事の取り方と深くかかわりがあります

食事の量
体脂肪の量は食事の量に関係します。食事量が多くなると、それに伴ない体脂肪も増加します。食事量を増やさないためには、食事をゆっくり噛んで食べることが重要です。ゆっくり時間をかけ、食事を取ることで血糖値がゆっくりあがり、満腹中枢が刺激されて満腹感から食べすぎが防止できます。

食事のタイミング
人間は夜になると交感神経の興奮が低くなり眠くなります。逆に副交感神経の活動が高まり血液中のインシュリンが上昇します。この状態で大食いすると、インシュリンの働きで脂肪細胞に効率よく脂肪を蓄えてしまいます。体脂肪量を増やさないためには、夕食を早い時間帯で食事を済まし、朝食と昼食にウエイトを置くことが効果的です。

食事の内容
脂肪の材料は、食物から作られます。食品に含まれている糖質と脂肪は、体脂肪を増やす元になります。タンパク質も、脂肪の材料になりますが、体の重要な機能(筋肉・骨・血液等)を作るために必要な栄養素なので、「低糖質・低脂肪・高タンパク」が良いということになります。

夕食後すぐ寝ると体脂肪がたまる
ダイエットを成功させるためには、夕食のタイミングが重要です。夕食の時間をいつもより1時間早くするだけで体重は落ちていきます。食後すぐに体を休ませるとカロリーは体脂肪になりやすくなります。夕食後できるだけ就寝まで3時間以上余裕をとり体を少し働かせてから就寝しましょう。

資料(図)

脂肪蓄積のメカニズム

脂肪分解のメカニズム


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